Zure Zure 日記

瑣末な日常を Zure た視線でやぶにらみ

必要経費

また中国の添乗の話しです(笑)



日本でも昭和 40 年代の初めごろまでは、あちこちに蒸気機関車が走っていました。

今もイベント列車などは多く走っていますが、あのころはまさしく現役であったわけで、私も何回か乗ったことを覚えてます。



中国では、その蒸気機関車が今でも現役として活躍しています。

もちろん本線上では姿を見ることはできませんが、日本で言うところの第三セクター、つまり地方路線や炭鉱や森林伐採などの専用鉄道では、多くの機関車が日々力走しています。

機関車そのものは、確かにメカニックであるし、失踪、あ、違う、違う… 疾走する雄姿には男の子なら一度はあこがれるのではないでしょうか。



私も旅行屋になってから、様々なツアーを手がけ、ご一緒してきましたが、こうした蒸気機関車がメシの種になろうとは思ってもいませんでしたけどね。

つまりは 「中国蒸気機関車撮影ツアー」 です。



鉄道が好きな連中、も、もとえ、皆さんは大きくふたつに大別できるとされています。

乗り鉄」 と 「撮り鉄」 です(笑)



乗り鉄」 とは読んで字のごとく、青春 18 キップでどこまでも行っちゃうとか、乗っていれば幸せ、という一派で、私など片道 2 時間 30 分の遠距離通勤の半分でも分けてあげたいと思っているのですが、世の中そーはいかないです(泣)



対して 「撮り鉄」 は、蒸気機関車を写真に収めよう、と。

で、 「撮り鉄」 もふたつに分かれるそうです。



まず美しく絵になるロケーションで機関車を撮影したい、という作品派と、珍しいタイプの機関車を撮影したいというコレクション派です。

まぁどちらにしても 「撮影する」 という行為自体は同じなわけですので、私にとってありがたいお客さんであることは変わりありません。



この 「撮り鉄」 も、主に国内が活動の場である人たちと、海外にまで出かけるディープな人たちに分かれますが、私がご一緒するのはもちろんディープな皆さんの方です(爆)



季節的にいつが撮影にベストなのかは、それぞれ好みによって違うわけですが、私のお客さんは総じて冬、それも真冬がベストだと考える方々でした。

寒い冬の朝って、吐く息が白くなりますよね。

これと同じで、蒸気機関車が吐き出す白煙は寒ければ寒いほど、きれいにくっきりと映えるわけで、特にバックが雪山なんかだと背景の白と機関車の黒のコントラスト、プラスはっきりくっきりの白煙があいまって非常に (  ・∀・)イイ!! ということになるんだそーです。



で、色々わけがありまして、ある蒸気機関車撮影ツアーに添乗員としてご一緒することになりました。

行き先は中国東北地方。時に 1992 年暮れのことです。



実は中国への機関車撮影ツアーはこれが初めてではありません。

前に 1 回だけ行ったことがありますが、その時はまともな防寒具を用意していきませんでしたのでヒドイめに遭いました。



で、今回は前回よりもさらに真冬。

しかも行き先はかなりな標高がある山あいと強風で有名な街だそうで、これは完璧な用意をしていかないと命が危ない。



んで、登山用品の専門店にダウンジャケットやらを買いにでかけました。

店員さんに事情を話します。



「どれぐらいまで気温が下がるところに行かれるんですか」

「んー 聞いた話しでは零下 30 度ぐらいだそーで、風も強いらしいです…」



( ̄□ ̄;ノノ 30度!?



「すすすす、すると、これぐらいは必要ですねぇ」

と、ごっついダウンジャケットを奥から持ってきました。



すげー厚くて、ダウンなのに重いです(爆)

なんでも南極越冬隊仕様だそーで… (;∀;) アッヒャッヒャッヒャ

値段聞いたら、 10 万だって… …o(;-_-;)o

そんなもん買えるかい。



即座に結論は出ました。

あったんめーです。

しかし…

前回、かなりつらい目に遭ったことを思い出し、それに、もしかしたら今後も、こういう添乗はあるかも知れない…

大体今までの人生で、こうやって裏目に出たことがいっぱいあるんですよね (´;ω;`)ウッ…



と、とりあえずダウンは後で考えるとして、次にブーツを見ました。

前回は借り物のスキー用のを持って行ったのですが、もー全然ダメでした。

足の感覚はなくなるし、第一履き古しのやつですから、底のぎざぎざがなくなちゃってて、滑るんですよ、つるつると(笑)



店員のにーちゃんが、やっぱり奥から持ってきたのは、これまたごっついブーツです。

膝の下ぐらいまで長くて、しかも中身の毛皮がぼわぼわはみ出してるみたいなやつで、カナダのソレルというメーカー製。



んで、アラスカの北極圏犬ぞりレース仕様だそーだじょぉぉ

(;∀;) アーッヒャッヒャッヒャー

お値段は 4 万 5 千円。



その他にもフリースのジャケットやら手袋やら、靴下とか下着なんかも入れると、すんげー額になっちゃいます。



決まりです。

買いません。

いや、買えません(泣)



ここはせめて女房に毛糸のぼーしやらパンツやらを編んでもらって、できるだけ重ね着して… なんて思ってたら、一緒に買いに行った女房がひとこと。



「いいよ。買っても。体が一番大事だもん」



オォォーーー!! w(゜ロ゜;w(゜ロ゜)w;゜ロ゜)w オォォーーー!!



そうです。

思い出しました。

確かにあの時、女房はそー言ったのです。



あのー で、奥さん…

あの時のあなたって、いったいどこに行っちまったんですか?

あの時のあなたと今のあなたって、ほんとに同一人物ですか?



それって私のせいですか?

世の中諸行無常ですか?

って、んなことはどーでもいい!! (`・ω・´)



買いました(爆)

すげー買い物しちまいました。

ああぁぁ これだけの金がありゃぁ、あの CD も、あのスピーカーも、あれもこれも…

そんでもって、あんなことしてこんなことして…

と頭がくるくるまわりましたが、とにかく買っちまいました。



「でもさー 全部は無理としても、少しぐらいは必要経費で落ちるんじゃない?」



と、女房。

w( ̄△ ̄;)w おおっ!

そ、そーだ、確かにその通りだ。

明日、会社行ったら領収書の束をぶつけてやろー って、ふと上司の顔が浮かびました。



当時の私の上司。

M 課長。

この添乗コラムを最初から読んでいただいた奇特な方は覚えていらっしゃるかも知れませんが、日本の歌手の中国公演の際、私に言わずに経費節約のためとかぬかして、勝手に通訳を断っちまったあのヤローです。



翌日。

M 課長に領収書を見せました。



「こここ、これって経費で何とか…」

(   ─┬___─┬) ジロッ

ヒイ



「でもさー お前ががんばって営業して、毎年こーゆーツアー作ればいいぢゃん。そしたらずぅぅぅぅっと使えるぢゃん」



毎年行かせる気かよ、零下 30 度のとこへよー(怒)



「それに日本にいたって、異常気象とかあるかもしれないぢゃん」



異常気象っつったって、南極越冬隊とか北極犬ぞりレース仕様がいるぐらいになんのかよー(魂)

それぢゃ氷河期再来だ、っつうの。

んで、いい年してぢゃんぢゃん言ってんぢゃねーよ。



そんじゃ、全額自己負担かよー(鬼)

お、お願いですから、ちょっとでもいーですから会社でもってくださいよー(真心)



言うだけ無駄でした(笑)



んで、それ着て行きました。

零下 30 度。



さっすがに南極越冬隊です。

零下 30 度で吹きっさらしの中でも全然だいじょぶでした。

足元はちょっとは冷えましたけど、さすがに犬ぞりレース御用達です。

すべってころんで、くわえたばこがほっぺたにひっついちゃって、やけどしちゃったとか、そんなことはありませんでした。



でも、零下 30 度って初めて経験しましたね。

まずライターの火がつかない。

ガスが気化しないんですね。

ぽぽぽぽって (*δ,δ)♪  天使のため息みたいなかわいい火がついたり消えたり。



メモろうとボールペン出しても、インクがでません。

マフラー、顔の下半分に巻き付けたら、鼻と口のかたちに凍りつきました。

ついでにまつげも。



外でおしっこなんかしたくなったら大変です。

ただでさえ小さいおち…(以下検閲済みにつき削除・当局)



ちなみに同様のツアーは翌年もありました(笑) 

そんときゃぁもうばっちりでした。

添乗員の私がお客さんより重装備でしたけど(笑)



それから。

ぱったりと話しはなくなりました。



ツアーは出てるんですよ。

ただ添乗員付でなくてもよくなったわけですね。



そんで、ダウンは屋根裏の収納庫に。

ブーツは中身をはずして、車洗う時の長靴になってます。

(泣)



この前、押入れから整理してない写真が出てきました。

その時の写真もありまして、件の南極ダウンは青なんですけど、 175cm / 80kg の私が着ると、ドラえもん*1みたいです(爆)



もう 1 回ぐらい、その手のツアーに添乗してみたいな、と思いますね。

また多少買わなきゃいけないものもありますけど、さすがに南極ダウンは日本ぢゃ着れないしね。

明日あたり、いきなり氷河期に突入とかしませんかね(呪)

*1:≡ ̄♀ ̄≡