その航空会社とは、いわゆる 「鶴丸」 (笑)
この逆風の中で入社したフレッシュマン諸君の健闘を祈りたいが、そのニュースを読んでいて自分が若かりし頃、この会社にけっこう泣かされた経験がよみがえってきた。
そんなころの経験から彼らを表現すれば…
「何サマ…?」
(笑)
山崎豊子さんの 「沈まぬ太陽」 でも、組合問題をはじめとして、安全対策、汚職問題といろいろな問題が浮き彫りにされていた。
もっとも山崎豊子さんご本人も断言されておられるように、あくまでもこれはフィクション。 全部が全部、真実だと思ったら、それは大きな事実誤認になる。 またこの人の作品、全般に言えることだが、ひいきの引き倒し、またはあからさまな勧善懲悪も随所に見られるので、そのあたりは間引いて読まないといけない。 |
不当な人権侵害が空の安全に大きな影響を及ぼしているのであれば、それは何よりも優先して解決されなければならない。
航空会社の最大のサービスであり、最低限の義務とは 「安全」 なのだから。
フルフラットになる座席とか、豪華な機内食、がしがしたまるマイルとか、きれいな乗務員のお出迎え(笑)なんかではなく、もちろん安い航空運賃なんかではない。
「安全」 こそが最大かつ最低の条件なのである。
オレは映画の 「沈まぬ太陽」 は見ていないが、原作は読んだ。
しかも飛行機の中で(笑)
いや、山崎豊子さんの一連の作品は大好きなので 「沈まぬ太陽」 も楽しみにしてたんですヨ。
ちょうどその時にアメリカ添乗の仕事があって、長い飛行機の中でこれを読もうと、わざわざ機内に持ち込んで…(笑)
確かニューヨークかアトランタからの帰りだったと思うのだが、さっそく読み始めて、さっそく後悔した(笑)
これは飛行機に乗ってる時に読む本じゃありません(爆)
それはともかく。
この本の中で主人公が強調する 「空の安全確立のための不当人事の是正」 は、正論だと思う。
キツい仕事をしている人は、そうでない人よりも質/量ともに恵まれた休養を取るのは当たり前だと思う。
しかしダ…
昔あった 「客室乗務員のハイヤーでの空港送迎」 に代表される各種優遇策、いや 「質/量ともに恵まれた休養」 は明らかに行き過ぎだと思うワケで。
こんなんやってたら、そらぁ会社も傾きますヨ。
しかも政治家という名のタカリ集団から、寄ってたかって喰いモノにされてたワケだしネ。
1985 年のイラン・イラク戦争。
有名な話だが、イラン在住の外国人たちは自国の軍用機や航空機で次々と脱出してる、っつうに、我が日本の場合。
まず自衛隊派遣。
当時の社会党やら市民運動家が 「自国民救出のための自衛隊海外派遣という法律がないからダメ」 と。
(核爆)
バカでしょ、こいつら…
次に民間機派遣。
当然にしてフラッグキャリアである鶴丸にお声がかかったが、組合側から 「乗員の安全が保障されないからダメ」 と。
(水爆)
クソでしょ、こいつら…
これと言うのもイラクのサダム・フセイン大統領が期限を切って、それ以降、イラン上空を飛ぶ飛行機は有無を言わせずブチ落とすもんネ! と宣言していたからである。
次々と自国の航空機で脱出して行く外国人たちを目の当たりにし、当時の在テヘラン日本人の心情は如何ばかりであったろうか、想像するに余りある。
そんな時。
救いの手を差し伸べてくれた国があった。
トルコである。
なぜトルコが…?
明治のころ。
トルコ船籍の船が日本訪問の帰途、和歌山沖で暴風雨に巻き込まれ遭難。
浅瀬に乗り上げたところ、機関部が爆発して、数百名に及ぶ犠牲者を出したのである。
嵐の中を泳ぎ着いた乗組員たちに、近隣の住民たちは精一杯の対応を行った。
救助活動はもちろん、中には貴重な家財である鶏などの家畜類をツブし、遭難者たちに提供した家もあったという。
事件を知った明治天皇からは、可能な限りの策を講じるよう指示が出され、また全国の国民からは多くの義援金が寄せられた。
その後、明治政府は救出者を二艘の軍艦でイスタンブールまで送り届けた。
このことをトルコ国民は忘れていなかった。
「今度はオレたちがお返しをする番だ」 とばかりに、サダム・フセインが切った制限時刻ぎりぎりの時にトルコ航空機がテヘラン空港に飛来したのである。
もっともこの時。
時の在イラン日本大使館からトルコ政府に対して、救援機派遣の打診があったという。
これが
「どこでもいいから、とにかく救援機を出してくれる国を探さなきゃ」
ということで、いろいろな国に持ちかけ、結果的にトルコが旧恩に報いるために同意したのか、あるいは
「トルコさんさー 昔、助けてやったじゃん。そのお返しを今してくれても全然いーんだヨ」
的な意図があったのかはわからん。
そんな風に考えるコト自体、トルコの厚意に対してあまりに無礼なコトであることは、重々承知しているのだが…
ただひとつ。
鶴丸さんの名誉のために申し添えておくなら。
救援機派遣の可否がまだ決まっていない時、鶴丸内部では派遣決定時に備えて乗務員たちの人選を行っていた。
その時、挙手した多くの機長の中で真っ先に名乗り出たのが、御巣鷹山に散華した高濱雅己機長であったという。
事実なのかどうかは知りません。
ありがちな後日談や意図された美談なのかも知れないが、政府決定がどうであれ、自社の組合の意向がどうであれ、救援に志願した人たちもたくさんいた、というコトだけは事実かと。
基本的にワタシャ飛行機がキラいです(笑)
なので添乗員として仕事してたころは 「明日は飛行機乗るのかぁ… ヤダなぁ…」 と思いっきり憂鬱になって、酒呑んで寝た(笑)
しかし絶対多数の人々は真剣に自己の職務に取り組んでおり、その上での不可避的な事故であれば、それはまさに事故であり
「ここで死んでも保険入ってるから、家のローンは帳消しになるし、家族が路頭に迷うこともないから、まぁいいや」
とかって思った(笑)
鶴丸さんにしても、青い色の方の航空会社にしても。
またどの航空会社にしても。
飛行機だからアブない、クルマだから安全、ということはまったくなく、極端な話、自分の家にいても事故に巻き込まれるコトはあるのである。
だからこそ 「安全」 という最大かつ最低の条件を可能な限り追求し、維持していただきたい。
心ある多くの利用者、ってか普通の人は、食事が粗末でも(笑)、スッチーがそれほどでなくても(笑)、アブない会社よりは 「安全」 な会社を選ぶのは自明の理なのだから。