山梨県北杜市、八ヶ岳南麓にあるこの美術館は、かつて鎌倉にアトリエを構えていた平山郁夫氏が生涯をかけて収集、保護に努めた中央アジア、シルクロードの9,000点以上にも及ぶ貴重な文物を収蔵している。
例によって、詳しい来歴は ↓ こちらから。
自宅からだと新宿経由、特急あずさを利用して小淵沢でJR小海線に乗り換え、甲斐小泉駅で下車することになるが、JR小海線は本数が極端に少ないので、各種乗り換えアプリを利用して、うまくスケジュールを作る必要がある。
今回もそうやって、あずさ→小海線の乗り継ぎスケジュールを作ったのだが…
出発の日はあいにくの雨(笑)
この前の旅行も、北九州豪雨で日程が縮まってしまったが、今回もか…(日頃行)
しかも、この日は埼京線が信号機トラブルや異音確認などが重なり、遅れに遅れ(笑)、結局、新宿でのあずさ乗り継ぎができなかった。
ヾ(`д´)ノ彡☆
持っているチケットを、次のあずさに振り替えるべく、みどりの窓口に向かったが、朝の新宿のみどりの窓口なんて、もう長蛇の列だろうナァ… と、うんざり。
係員には気の毒だが、嫌味の一言でも言わんと気が収まらん。
そう思って、覚悟してみどりの窓口に向かったのだが、豈図らんや。
意外なほど行列は少なく、折り返し2列めの先頭だった。
あー よかった、と思ったのも束の間。
オレの前の行列は、ほとんどすべてが外国人客であり、得てしてこういうヤツらはことばの壁もあって、カウンターでシツこくねばるので時間がかかる。
やっぱり時間がかかってる(涙)
もー いい加減にしろヨ、次のあずさに間に合うだろうナァ とイライラが頂点になった時点で、オレの番。
このカウンターの係員には何の責任もないが、一言ぐらい言ってやる! と激怒り豆で、
『埼京線の遅れで、特急に乗り継げなかっ…』
『まことに申し訳ございません!』と、カウンターの係員のおにいちゃん、オレが言い終わらないうちに、すくっと立ち上がると深々と頭を下げた。
これですっかりと毒気を抜かれたオレ(笑)
『あ、とんでもないです。次のあずさに振り替えたいんですが…』
『かしこまりました』
みたいな(笑)
だいたい外国人にとって、日本人のおじぎというのは、多少奇異に映るらしく、この時もこれから一体どう展開するのか、オレの後ろの外国人たちの視線をひしひしと感じる(笑)
『おまたせいたしました。次の特急あずさxx号でご用意いたしました』
『あ、ありがとうございました。お世話様でした』
外国人たちの期待外れの視線を背中に感じつつ『なるほど、こういうクレーム未然策もあるのか…』といたく感心してしまった(笑)
というワケで、次のあずさ号の出発まで多少の時間があるので、外に出てみたが、何だか、最近はこんな西新宿の写真ばっかり撮っているような気がする(笑)
このあずさ号で行った場合、小淵沢での乗り継ぎは何と小1時間(笑)
まぁいいヤ、雨も降ってるし、小淵沢からタクシーで行こう。
はい、小淵沢の駅から美術館までタクシーで10分ほどでした(笑)
何だか時間の損得勘定がよくわからなくなってきたが(笑)、とにかく着いたので、さっそく見てみることにする。
『崑崙の西』というだけあって、中国や韓国、日本といった東アジアの仏とは違い、どれも中央アジア近辺の彫りの深い顔立ちの仏である。
しかし、このように深く思惟し、ややうつむき加減の造形は東アジアの仏像にも通じるものがあるように思える。
思わず立ち止まってしまった収蔵品。
紀元2~3世紀あたりのガンダーラ・クシャン朝で造られた『仏伝浮彫「初転法輪」』
悟りを開いた仏陀が鹿野苑 (サールナート)で初めて説法した場面。
彼を迎えるのは、かつての仲間であり、後に仏弟子となる者でもある。
台座の上に立てられた柱の頂には三つの法輪(車輪)があり、これらは「仏・法・僧」を表している。
その両側には、飛天を思わせるような有翼のエロスが描かれており、当時のガンダーラ美術にはギリシア文化などの異文化も採り入れていたことがわかる。(同収蔵品の解説)
『仏・法・僧』という仏教三宝を高々と掲げ、釈迦が初めて説法する有名なシーンだが、丸々としたふくよかな身体つきの天使があたかもそれを祝福しているように見える。
この天使たちは、仏教で言うところの『飛天』であり、東アジアに仏教が伝搬すると、天使のかわりに薄い羽衣をまとった細身の天女たちが舞うようになる。
ちなみに現代中国が飛天を描くと ↓ こんな風になり、とたんにイヤらしくなる(笑)
が、これはこれで、決して悪くはないような気もして(爆)、2枚も載せてしまいました(^^)b
で、飛天なんですが(笑)、こうした天使にも似た飛天像は他にも発掘されている。
これは、同じくシルクロード中央アジアの要衝・米蘭(ミーラン)で発掘された『有翼天使像』
大きな瞳に高い鼻、ふくよかな丸い身体付きは、上記の収蔵品に残された飛天と瓜二つである。
仏教も、その時代や土地柄、風土や人々に大きく影響され、次第に姿を変えつつ、伝搬していく様がよくわかる。
香油瓶と金製台
マーブル文長頸瓶と水差し
ここまでも十分に見応えがあったが、次に美術館の展示は平山郁夫氏の作品に移っていく。